18
Jan

2010年1月18日(月)   ≪「空白の1日」≫

「空白の1日」としてプロ野球史上に最大の汚点を残した"江川事件"の被害者である小林繁氏が、昨日57歳の若さで亡くなった。「空白の1日」とは、1978年に巨人がドラフト会議の前々日ぎりぎりまで交渉を続けていた球団が次のドラフト会議場に移動するため協約で規定されている「空白の1日」を利用して、その年の目玉投手だった江川卓と電撃契約を結んだ日の事を指している。セリーグ事務局は、即座にその契約を無効との判断を下したため、怒った巨人は、その翌日のドラフト会議をボイコットしたが、ドラフトでは阪神・南海・ロッテ・近鉄の4球団が江川を1位指名した。そして抽選の結果、阪神タイガースが交渉権を得たのである。

 しかし、巨人の圧力を感じた金子コミッショナーは、阪神は江川と契約した後、巨人へトレードに出すように要請。このトレードの交換選手として挙げられたのが巨人のエース小林だった。1月31日に阪神は、江川と契約を結び、翌2月1日に小林は、巨人に入る江川との交換で阪神へ移ったのである。小林は「同情してほしくない」「野球が好きだから喜んで阪神に行く」と気丈に答えたことはいまだに語り草となっている。こうした二人の対照的な行動は、当時「エガワる」(ダーティなイメージ)「コバヤる」(悲劇のヒーローのイメージ)という流行語まで生み、一種の社会現象になったのである。

あれから31年経ったが、小林繁投手との交換トレードで念願の巨人入りを果たした江川卓氏(55歳・現野球解説者)は17日夜、東京都内のテレビ局で取材に対し、「(小林氏が)亡くなったからといって、申し訳ないという気持ちは終わらない」と、目を真っ赤にして言葉を詰まらせたと言う。かつてのドラフト騒動は、今もぬぐうことのできない負い目となっているようだ。そこで、私は巨人と阪神どちらが得をしたか調べてみたところ、2人の戦績面に於いて非常に興味深い事に気付いたので、ここに記してみた。

     実働年数 引退時 登板回数 先発  完投 完封   勝敗    勝率  防御率 奪三振 

江川卓  09年   32歳   266    252  110  27  135勝72敗  65.2% 3.02   1366

小林繁  11年   31歳   374    268   96  19  139勝95敗  59.4% 3.18   1273

実働年数が違うのと、小林投手が後年抑えに回ったため登板回数に違いが有るものの、何と似通った成績であろうか!益して共に在籍した1979~83年の5年間は、江川が80勝49敗(勝率62.0%)で小林が62勝39敗(同61.4%)とほぼ互角にに近い活躍をしている。但し、江川が対阪神戦には36勝18敗なのに比べて小林が巨人戦に13勝15敗と負け越しているので、やや巨人の方に部が有るのかもしれない。しかし個人的に見ると江川が、自分の仕出かした事件?に依って球界の指導者になれない事を考え併せると、どちらが幸せだったかは自明の理である! image.jpeg              〈常に打者の懐深く投げ込んだ阪神当時の小林繁投手の勇姿〉