11月12日(木) ≪森繁久彌と彼を支えた豪華な俳優陣≫
昭和の喜劇映画界を彩った最大の巨星、森繁久彌が天国に召された。96歳というから大往生である。彼は、三船敏郎(1920~1997年・後に三船プロを設立)や加山雄三、植木等らと共に1960年代の東宝映画の全盛期を築き上げたのである。7代目(現)立川談志は、彼の事を『日本最高の喜劇役者』と自分の著書で絶賛している。但し、それも彼の周りで彼を支えたキラ星の如く輝く脇役陣の存在が有ったからである。主な作品の共演俳優を挙げると次の通りである。
≪映画≫ 『社長シリーズ』(源氏鶏太作・1956~1970年・30数作)・・・【男優/小林桂樹(実直な秘書)、加藤大助(総務部長)、三木のり平(営業部長)、フランキ―堺(変な日本人・中国人)、東野英二郎(親会社の大社長)、宮口精二(社長夫人の父親)、小沢昭一(中国人バイヤー)】・【女優/久慈あさみ(社長夫人)、司葉子(小林秘書の恋人)、新珠美千代・草笛光子・淡路恵子(社長の浮気心をくすぐるバーのママ又は芸者)、池内淳子(社長を誘う芸者)】・【その他、有島一郎、山茶花究、左卜全、団玲子等】
『駅前シリーズ』(井伏鱒二の「駅前旅館」を映画化・1958~1969年・24作)・・・【男優/伴淳三郎・フランキ―堺(共に友人又は敵対関係役)】・【女優/淡島千景・淡路恵子・池内淳子・乙羽信子・大空真弓(いずれもマドンナ役)】・【その他、三木のり平、松山英太郎、森光子、沢村貞子、京塚昌子、中村メイコ等】
≪テレビ≫ 『七人の孫』(TBS・源氏鶏太原作/向田邦子脚本・1964~1966年)・・・【大阪志郎・加藤治子(息子夫婦)/高橋幸冶・松山英太郎・いしだあゆみ・島かおり・勝呂誉・長谷川哲夫・田島和子(七人の孫たち)】・【その他、悠木千帆、月岡夢路、松本めぐみ、石坂浩二等】
『だいこんの花』(テレ朝・向田邦子脚本・1970~1977年)・・・【竹脇無我、大坂志郎、加藤治子、牟田悌三、ミヤコ蝶々、関根(現高橋)恵子、いしだあゆみ、川口晶、武原英子等】
≪ラジオ≫ 『日曜名作座』(NHK第1・1957~2008年・ラジオドラマ)・・・【加藤道子(俳優・声優)】
全てそうそうたるメンバーであるが、何と言っても彼がシリアスな役を演じる俳優として認められたのは、1955年に淡島千景と共演した維康柳吉役の『夫婦善哉』であろう。これは織田作之助の小説を原作にした、大阪の昭和初期を舞台に大店のドラ息子としっかり者の芸者の夫婦を描いている豊田四郎監督の名作である。森繁の成功の影響でコメディアンの中からベテランになるにつれてシリアスな演技者となりたがる者が多発したため、これを「森繁病」と呼んだことも有ったと聞く。
その良い例が、今日の日経新聞文化欄にも出ていたが、名作『飢餓海峡』の伴淳三郎であり、『私は貝になりたい』のフランキ―堺であろう。又、その他にも影響を受けたと言われているのが、有島一郎であり、テレビの藤田まことだそうだ。既に天界で多くの仲間たちと笑いを撒き散らしているであろう、『日本最高の喜劇役者』に合掌、そして献杯!!!



